店舗販売でリピート客を増やす方法:カギは“接触ポイント”の設計
結論から、いきます。 リピート客が増えない理由は、たいてい商品でも値段でもありません。お客さんとの「接触ポイント」を活かせていないだけ。しかもこれ、お金をかけずに今日から直せます。ある家具店での体験から、具体的に見ていきましょう。
ある家具店で、私が“一度きりの客”になった話
先日、某家具量販店でイスを買いました。すわり心地もデザインも価格も比較して、「これだ」と決めて、注文札をカウンターへ。ここからが、店員さんと私の「接触ポイント」だったのですが——こんな感じでした。
- カウンターに店員が3人いたのに、しばらく誰からも声をかけられず。
- 注文札を渡して在庫確認の間も、世間話ひとつなし。
- 梱包された現物が来ても、注文品と合っているか確認を求められず(こちらから頼んで確認)。
- 会計では会員かどうか聞かれただけ。入会も、連絡先も、次の案内もなし。
- そこそこ重かったのに、車まで運ぶ手伝いの声かけもなし。
別に、文句を言いたいわけじゃありません。商品にはちゃんと満足しています。ただ、店舗販売のいちばんおいしいところが、まるっと使われていないな、と思ったんです。
なぜ、これが“もったいない”のか?
考えてみてください。新規のお客さんに来てもらうのって、すごく大変ですよね。広告も、手間も、時間もかかる。その大変な壁を、この私はもう越えて、実際にお金まで払った。
なのに、そのあとの「また来てもらう工夫」がゼロ。イスを買った人は、いずれ机も、本棚も要るかもしれない。なのに何もつながらない。新規を集めるコストに比べて、リピーターになってもらう工夫は、ほとんどタダなんです。ここを捨てるのは、本当にもったいない。
リピートのカギ「接触ポイント」って何?
接触ポイントというのは、お客さんとお店が触れ合う一つひとつの場面のこと。来店、相談、注文、受け渡し、会計、見送り……。
大事なのは、その一つひとつが「また来たいな」を作るチャンスだということ。逆に、さっきの家具店みたいに素通りすると、そのチャンスを毎回捨てていることになります。紹介した心づかいの多くは、ちょっとした心理的サービス。難しいことは何もありません。
じゃあ、自分の店ではどうする?——接触ポイント・チェックリスト
あなたのお店の場面に置き換えて、こう問いかけてみてください。
| 場面 | ひと工夫できていますか? |
|---|---|
| 入店・来店 | 目を合わせて、ひと言の挨拶があるか |
| 相談・案内 | 迷っている人に、こちらから声をかけているか |
| 受け渡し | 「中身、一緒に確認しますね」の一手間があるか |
| 会計 | 次に使える案内(会員・次回・関連品)があるか |
| 見送り | 「ありがとうございました、またぜひ」の温度があるか |
全部やる必要はありません。まず1場面。 そこにひと言、ひと手間を足すだけで、お客さんの「気持ちよさ」は変わります。その気持ちよさが、商品だけでなくお店への満足度になって、次につながる。
(誰が“離れた常連”かは数字でも気づけます。その見方はエクセルで始める売上分析に。お客さんの背中を押すひと言のコツはお客さんの行動をうながす秘訣もどうぞ。)
全部は無理。じゃあ、どの接触ポイントから直す?
ここで、正直な声が聞こえてきます。「そうは言っても、全場面に手をかける余裕はないよ」——ですよね。大丈夫です。実は、効くポイントは決まっています。
行動経済学に**「ピーク・エンドの法則」**というものがあります。人はある体験を評価するとき、途中の平均点では判断していない。いちばん印象的だった瞬間(ピーク)と、いちばん最後の印象(エンド)、この2点だけで全体の印象を決めてしまうんです。「終わり良ければすべて良し」は、気休めじゃなく、本当だったということですね。
先日、いい旅館に泊まりました。絶景の露天風呂と、豪華なカニ料理。これがピークです。そして帰り際、女将さんが心のこもった笑顔でお土産を手渡してくれた。これがエンド。
不思議なもので、この2点さえ強烈だと、道中の小さな不備は記憶からきれいに消えます。残るのは「また来たい」という感動だけ。
これ、さっきの家具店の話とぴったり重なりませんか。あの店に決定的に足りなかったのは、エンド——見送りです。最後の30秒に手を抜くのは、そこまでの全部を安売りしているのと同じなんです。
だから、こう考えてください。
接触ポイントを全部よくするのではなく、「山場」と「締めくくり」の2つに寄せる。
- ピーク:うちの店で、お客さんがいちばん「おっ」となる瞬間はどこか。無ければ、1つ作る。
- エンド:最後の見送り・受け渡し・お礼で、何を残しているか。
「うちの山場ってどこだろう?」がわからない、という人へ。日本でもトップクラスの売上を出したある整体師さんは、毎晩ノートに患者さんとの会話を書き出していたそうです。
- どの話に驚いてくれたか?
- どの瞬間に感情が動いたか?
- どのトークでリピートが決まったか?
数か月続けると、「毎回この話で驚かれる」「この流れなら必ずリピートされる」という黄金パターンが見えてきた。そこで反応のいい話だけを組み合わせて話すようにしたところ、リピート率は90%超えになったといいます。
新しいツールを探す前に、目の前のお客さんの声を振り返る。自分の店のピークは、すでにお客さんの反応の中にあるんです。(数字の側から常連の動きを見る方法は離れた常連客にデータで気づくへ。)
今日やること
今日は、自分のお店の接触ポイントを1つだけ選んで、ひと言を足す。たとえば見送りの「またお待ちしてます」でもいい。
お客さんとの接触ポイントを大事にすること。それこそが、店舗販売のいちばんの武器です。ネットにはマネできない、あなたの強みです。応援しています!
よくある質問
リピート客を増やすには、まず何をすればいいですか?
商品や値引きの前に、お客さんとの「接触ポイント」を見直してください。来店・注文・受け渡し・会計・見送りといった一つひとつの場面で、ひと言の声かけや次につながる案内があるか。この小さな心づかいの積み重ねが、また来たくなる理由になります。
新規集客とリピート、どちらを優先すべきですか?
せっかく来てくれた新規のお客さんを“一度きり”で終わらせないことが先です。新規を集めるのは手間もお金もかかりますが、来てくれた人にリピーターになってもらう工夫は、ほとんどコストがかかりません。
ネット販売でも接触ポイントの工夫はできますか?
できます。ただし店舗ならではの“その場の心づかい”は、対面の最大の武器です。ネットは購入後メールやフォローで、店舗は会話や見送りで——それぞれの接触ポイントを設計するのがコツです。
接触ポイントを全部よくする余裕がありません。どこから手をつけるべきですか?
「ピーク(いちばん印象的な瞬間)」と「エンド(最後の印象)」の2つに絞ってください。人は体験を途中の平均点ではなく、この2点だけで評価します(ピーク・エンドの法則)。旅館なら絶景の風呂と料理がピーク、帰り際の女将の見送りがエンド。この2点が強ければ、途中の小さな不備は記憶から消えます。まずは最後の見送りのひと言から見直すのが、いちばん費用対効果の高い一手です。
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