誰もが知らないおとりの使い方

誰もが知らないおとりの使い方

結論から言います。 お客さんが「どれにしよう」と迷って帰ってしまうのは、商品が悪いからではありません。比べる物差しを、こちらが渡していないからです。

人は「単体の価値」を判断できない

人の脳は、「これ単体でいくらの価値があるか」を判断するのがとても苦手です。一方で、「AとBならどっちが得か」という比較は得意です。

だから、商品を1つだけポンと置かれると、お客さんは動けません。高いのか安いのか、良いのか悪いのか、判断する基準がないからです。

「選択肢を用意する」というのは、親切心の話ではありません。 お客さんの脳が働ける状態を作る、という技術の話です。

おとりとは「買わせる罠」ではなく「比べるための物差し」

ここを誤解すると、失敗します。

おとりの役割は、本命の価値を浮かび上がらせることです。粗悪品を混ぜたり、事実と違う説明をしたりするのは論外で、そもそも効きません。お客さんは、思っているよりずっと敏感です。

正しいおとりは、**「どれを選んでも損はしない。ただし、本命が一番お得に見える」**という並べ方です。

松竹梅は、なぜ真ん中が売れるのか

3つ並べると、真ん中が選ばれやすくなります。理由は単純で、両端が「極端」に見えるからです。

  • 一番安いもの → 「さすがに物足りないかも」
  • 一番高いもの → 「そこまでは必要ないかも」
  • 真ん中 → 「これが無難だな」

人は、極端を避けます。 これは性格ではなく、脳の癖です。

だから、一番売りたいものを真ん中に置く。これだけで、何も作らずに売れ筋が変わります。

やりがちな間違い

真ん中を「一番安いもの」にしてしまうケースをよく見ます。売りたい気持ちが先に立って、本命を安くしてしまうのです。

これをやると、真ん中が売れて利益が残らないという結果になります。真ん中に置くのは「一番売りたいもの」であって、「一番安いもの」ではありません。

価格差だけでは、人は動かない

現場で一番多い失敗が、これです。

Aプラン  30,000円
Bプラン  50,000円
Cプラン  80,000円

この並べ方では、ほぼAが選ばれます。 なぜなら、差額の理由が書かれていないからです。理由が分からなければ、人は安い方を選びます。当然です。

正しくは、こうです。

Aプラン  30,000円  … 月1回の面談。ご自身で実行する方向け
Bプラン  50,000円  … 月2回の面談+実行の伴走。多くの方がこちら
Cプラン  80,000円  … 週1回の面談+資料作成まで代行

「多くの方がこちら」の一言があるだけで、Bの選ばれ方が変わります。 人は、他の人が選んでいるものを安心して選びます。

おとりが売れてしまったときの直し方

「おとりを置いたのに、おとりの方が売れた」——これもよくあります。

原因は2つのどちらかです。

① おとりの見劣りが足りない 差が小さすぎると、安い方が単純に「お得」になります。おとりは、明確に物足りない必要があります。

② 本命の価値が伝わっていない 高い理由が言葉になっていません。「なぜこちらが高いのか」を一言添えるだけで、逆転します。

選択肢は、多くて5つ。売り込みなら3つ

増やせば増やすほど選ばれる、ということはありません。むしろ逆です。

これには根拠があります。「マジカルナンバー4±1」——**人の脳が一度に処理できる情報は、4個前後(3〜5個)**だと言われています。これを超えると混乱が起き、記憶にも残りません。

だから目安はこうなります。

場面個数
チラシの人気商品3つ
Webサイトの主要メリット3つ
プレゼンの重要ポイント5つまで
価格プラン(今回の話)3つ

価格プランを3つにするのは、この中でも一番少ない設定です。理由は、その場で決断してもらう必要があるから。読んで覚えてもらう場面より、さらに絞ります。

選択肢が多すぎると、お客さんは決断そのものをやめます。 迷った末に「また今度にします」と言って帰る——これが一番もったいない結果です。

6つ以上並べたくなったら、まずカテゴリで分ける。 その中で3つに絞る。これが鉄則です。

今日やること

主力商品を1つ選んで、紙に3つ書き出してください。

① 一番売りたいもの(本命)        → 真ん中に置く
② それより控えめなもの            → 上に置く
③ それより手厚いもの              → 下に置く

そして、それぞれに「誰向けか」を1行ずつ添えてください。 価格だけを並べないこと。

メニュー表、提案書、料金ページ——並べ方を変えるだけなので、費用はゼロです。 明日から試せます。

比べる相手を変えるだけで同じ商品が「安く」見える話は“適正価格”は誰が決めるのかに、値上げせずに単価を上げる型は値上げせずに客単価を上げる4つの型に書いています。

あわせて読みたい: このように商品を売りやすくできることを知ってますか? / “適正価格”は誰が決めるのか

選ばせるのではなく、選びやすくする。 それだけで数字は動きます。応援しています!

よくある質問

おとり効果(デコイ効果)とは何ですか?

本命の商品を選んでもらうために、あえて見劣りする選択肢を並べる方法です。人の脳は「これ単体でいくらの価値か」を判断するのが苦手な一方、「AとBならどっちが得か」の比較は得意です。比べる相手を用意することで、本命の魅力がはっきり伝わり、お客さんが決めやすくなります。

おとりを置くのは、お客さんをだますことになりませんか?

なりません。おとりは「買わせるための罠」ではなく、「比べるための物差し」です。どれを選んでも損をしない品質のものを並べ、お客さんが自分で納得して選べる状態を作るのが目的です。粗悪品を混ぜたり、事実と違う説明をするのは論外です。

小さな会社が今日から試すには、どうすればいいですか?

まず一番売りたい商品を1つ決めます。次に、同じくらいの価格で内容がやや控えめな選択肢を1つ用意して、隣に並べます。松竹梅の3つにすると、真ん中が選ばれやすくなるので、真ん中に本命を置くのも有効です。メニュー表や提案書の並べ方を変えるだけなので、費用はかかりません。

選択肢は何個まで増やしていいですか?

人の脳が一度に処理できる情報は4個前後(3〜5個)と言われており、「マジカルナンバー4±1」と呼ばれます。この範囲を超えると混乱が起き、記憶にも残りません。プレゼンの要点なら5つまで、チラシやWebの訴求なら3つ、その場で決断してもらう価格プランは3つが目安です。増やしすぎると、お客さんは決断そのものをやめて帰ってしまいます。

おとりを置いたのに、おとりの方が売れてしまいました。なぜですか?

おとりの見劣りが足りないか、本命の価値が伝わっていないかのどちらかです。価格差だけでは人は動きません。「なぜこちらが高いのか」を一言添えてください。理由が分かった瞬間に、高い方が選ばれるようになります。

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