クレームの本質的な原因、知りたくないですか?
お客さんから、あるいは社内からのクレームを無くすのは大変ですよね。
そして普通、クレームが出てから、その対応を検討することになります。
これは、ものづくりでもサービスでも同じです。
そして、
・謝る
・クレームを4象限に分類する
・お客さんタイプ別の対応を整備する
・特性要因図などで原因解明をする
・対応マニュアル/作業マニュアルをつくる
・品質検査基準をさだめる
等など、クレーム対応と対策をこうじるわけです。
クレームが生じたとき、
先ずは即座に謝罪し、短期間のうちに満足してもらえる対応をして信頼を得る。
そして、同じクレームが出ないような対策をこうじる。
ということが、さかんに言われることですよね。
これは、クレームの内容によって手法は異なるにしても、これはどんな会社でも実践していることではないでしょうか。
でも、少し考えてもらいたいんです
クレームの原因の大半は人が引き起こしている、と言われています。
だとすると、
どんなに優れた手法をクレーム対策として取り入れたとしても、その手法を考えたのも、取り入れたのも、運用するのも人ですよね。
なので、クレームの原因を完全に取り除くことはできないことになりませんか?
例えば、クレームが発生しない最良の対策をマニュアル化できたとして、その分厚いマニュアルって、社員がいつも見るでしょうか?
あるいは、完璧に実践できるでしょうか?
仮に完璧に実践できたとしても、人がつくるものには必ず抜けがあるわけで、、、
ということです。
じゃあ、どうすればよいのか?ですよね。
では、すこし違った観点からみてみましょう。
しょせん、ヒューマンエラーが避けられないのであれば、それを認めるということです。
それを認めることで、“コミュニケーション力”を高めることの重要性に気付きます。
バカみたいに聞こえますか?
レームの本質的な原因は、人の相互認識にかかわること、つまりコミュニケーションに行きつくんですね。
では、具体的に説明しましょう。
3つのことを伝えます
コミュニケーションについて、3つのことをお伝えします。
1. アクティブリスニング
1つ目は、アクティブリスニングです。
アクティブリスニングとは、心理学者のカール・ロジャーズが提唱した、心理カウンセリングを行う際に用いるやり方です。
相手の言うことをただ「聞く」のではなく、受容と共感をもって「聴く」ということです。
それによって、問題の本質が浮かんできます。
問題の本質が見抜けると、どうすればよいかという解決策も見えてきます。
ただし、注意すべきことがあります。
人には誰しも偏見や思い込みが存在しているということです。
つまり、このバイアスを知ったうえでアクティブリスニングをしなければなりません。
2. イドラ
2つ目はイドラです。
哲学者ベーコンをご存じでしょうか?
彼は、人は偏見や思い込みに陥りやすく、それが正しい知識を妨害すると考え、これらの偏見を「イドラ」となづけ、4つの種類をあげています。
① 種族のイドラ → 生まれながらにもつ錯覚など
② 洞窟のイドラ → 生まれ育った環境から得られたせまい決めつけなど
③ 市場のイドラ → うわさ話やフェークニュースを真に受けるなど
④ 劇場のイドラ → 地位の高い人やインフルエンサーの話を信じるなど
これらのイドラ(=バイアス)を知ったうえで、「聴く」ことが大事です。
3. アウフヘーベン
そして、3つ目はアウフヘーベンです。
仮にバイアスを除いたアクティブリスニングができても、意見の食い違いが生じることがあります。
単純にどちらかに決めてしまうと、せっかくクレームの本質的な原因にたどり着けたとしても、解決には至らないということになりかねませんよね。
そこで、アウフヘーベンとなるわけで、これは哲学者ヘーゲルが考え出した思考結果です。
ザックリいうと、アウフヘーベンとは、異なる主張(矛盾や対立)を戦わせることでより適切な意見が生まれることです。
まとめ
以上、3つのことを伝えましたが、まとめるとこういうことです。
人にはバイアスがあることを認識したうえで、受容と共感をもって話を聴き(アクティブリスニング)、より適切な解決策を生み出す(アウフヘーベン)。
これこそ、人が引き起こすクレームの本質的な原因を見つけ、解決する流れなのです。
このことを認識してクレームを考えてみると、少しは世界が違って見えますよ。
ちょっと観念的になりましたが、これまでの手法に加え、クレーム対策として実践してみて下さい。