セールスを楽にする秘密
商談でお茶やコーヒーが出るのは、ただの慣習ではありません。 そこには、はっきりした理由があります。
飲み物の温度が、相手の印象を変える
こんな実験結果があります。
アイスコーヒーを持った人とホットコーヒーを持った人に、同じ人物の紹介文を読んでもらい、印象を答えてもらう。すると、ホットコーヒーを持っていた人の方が、相手を「温かい人だ」と評価したというものです。
紹介文はまったく同じです。変えたのは、手に持っていたカップの温度だけでした。
さらに、飲んだ本人の行動も変わる
面白いのはここからです。
温かい飲み物を口にした人は、自分自身も温かい心情になるとされています。もっと言えば、気前がよくなる、人を信じやすくなるという方向です。
つまり、温かいお茶を出すことは、
- 相手が、あなたを温かい人だと感じやすくなる
- 相手自身が、話を受け入れやすい状態になる
この2つを同時に起こしています。お茶を出す文化には、ちゃんと意味があったわけです。
カフェインという、もう一段の効き目
お茶やコーヒーにはカフェインが入っています。集中力を高める働きがあります。
温かさで心をほどき、カフェインで集中してもらう。 商談の場に、これ以上ちょうどいい飲み物はありません。日本の商習慣は、よくできています。
やってはいけない使い方
ここを外すと、逆効果になります。
① 夏場に、熱いものを押しつける 汗だくで入ってきた相手に熱いお茶を出せば、単に気が利かない人です。「冷たいものと温かいもの、どちらがよろしいですか」と聞いてください。 選んでもらう行為そのものが、相手を尊重している合図になります。
② 飲み物で契約を取ろうとする 当たり前ですが、お茶で契約は決まりません。 これは「話を聞いてもらいやすい状態を作る」ための下ごしらえです。中身が伴わなければ意味がありません。
③ 相手の判断を曇らせる方向に使う 境界線は明確です。相手の判断を「助けている」か、「曇らせている」か。
落ち着いて話せる場を整えるのは前者です。酔わせる、急かす、考える時間を与えない——これは後者で、操作です。良いものを正しく伝えるための準備なら、堂々とやってください。
オンライン商談ではどうするか
相手に飲み物を出せません。代わりに、こうします。
自分の手元にカップを置いて、冒頭で一言。
「よろしければ、何か飲みながらお話ししましょうか」
これだけで、相手の緊張がほどけます。オンラインは対面より場の空気が作りにくいので、意識して作りにいく価値があります。
今日やること
次の商談で、入室から最初の3分だけ意識してください。
① 相手に「温かいものと冷たいもの、どちらがよろしいですか」と聞く
② 自分も同じものを飲む
③ すぐ本題に入らず、飲み物が来てから話し始める
費用はゼロです。 それでいて、相手が話を聞く姿勢は明確に変わります。
なお、こうした心理の働きを「なぜ正論だけでは売れないのか」という視点で掘り下げた記事がなぜ、あなたの商品は「正論」だけでは売れないのか?です。あわせてどうぞ。
あわせて読みたい: 広告でより深い印象を与える秘密 / 店舗販売でリピート客を増やす方法
小さな工夫ですが、積み重なると差になります。応援しています!
よくある質問
商談で温かい飲み物を出すと、本当に効果があるのですか?
温かい飲み物を持つと相手に対して温かい印象を持ちやすくなる、という実験結果が知られています。飲んだ本人の心情にも影響し、気前がよくなる傾向があるとされます。ただし飲み物だけで契約が決まるわけではありません。話を聞いてもらいやすい状態を作る下ごしらえだと考えてください。
夏場でも温かい飲み物を出した方がいいですか?
無理に押しつけないでください。汗をかいて入ってきた相手に熱いお茶を出せば、単に気が利かない人になります。「冷たいものと温かいもの、どちらがよろしいですか」と聞くのが正解です。選んでもらう行為そのものが、相手を尊重している合図になります。
オンライン商談では何ができますか?
相手に飲み物を出せない代わりに、自分の手元にカップを置いて、冒頭で「よければ何か飲みながら話しましょう」と一言添える方法があります。相手の緊張がほどけ、会話の温度が変わります。オンラインは対面より場の空気が作りにくいので、意識して作りにいく価値があります。
こうした心理的な工夫は、お客さんを操作することになりませんか?
なりません。境界線は「相手の判断を助けているか、判断を曇らせているか」です。落ち着いて話せる場を整えるのは前者です。一方、酔わせて契約させる、急かして考えさせないといった行為は後者で、これは操作です。良いものを正しく伝えるための準備なら、堂々とやってください。
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