営業利益と経常利益の違い。どちらが大事かは借入で決まる
結論から、いきます。営業利益と経常利益の違いは、「本業の外のお金の出入り」を含むかどうかです。
営業利益 = 売上総利益(粗利)− 販売費及び一般管理費
経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用
いちばん大きいのは、借入の利息です。利息は営業利益には入らず、経常利益で初めて引かれます。だから、どちらが大事かは、借入がどれくらいあるかで決まります。
今日は、利益の5段階の並び、本業外に何が入るか、中小企業の平均の数字、そして「本業は赤字なのに経常利益は黒字」がなぜ起きるかまで置いていきます。
営業利益と経常利益は、どこが違うのか
損益計算書は、上から順に5つの利益を出していきます。
売上高
− 売上原価
= ① 売上総利益(粗利)
− 販売費及び一般管理費
= ② 営業利益 ← 本業のもうけ
+ 営業外収益 − 営業外費用
= ③ 経常利益 ← 本業外を含めた、毎年のもうけ
+ 特別利益 − 特別損失
= ④ 税引前当期純利益
− 法人税、住民税及び事業税
= ⑤ 当期純利益
例で出します(説明用の数字です。単位は万円)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上高 | 10,000 |
| 売上原価 | 7,000 |
| ① 売上総利益 | 3,000 |
| 販売費及び一般管理費 | 2,600 |
| ② 営業利益 | 400 |
| 営業外収益(受取利息・雑収入) | 80 |
| 営業外費用(支払利息) | 150 |
| ③ 経常利益 | 330 |
| 特別損失(古い設備の除却) | 30 |
| ④ 税引前当期純利益 | 300 |
| 法人税、住民税及び事業税 | 90 |
| ⑤ 当期純利益 | 210 |
② 3,000 − 2,600 = 400
③ 400 + 80 − 150 = 330
④ 330 − 30 = 300
⑤ 300 − 90 = 210
経常利益には、営業利益が丸ごと含まれています。そこに本業外の出入りを足し引きしただけです。
営業外収益と営業外費用には、何が入るのか
本業ではないけれど、毎年くり返し発生するお金です。
| 区分 | 主なもの |
|---|---|
| 営業外収益 | 受取利息、受取配当金、雑収入 など |
| 営業外費用 | 支払利息、手形売却損、雑損失 など |
⚠ 借入のある会社では、営業外費用の中心は支払利息です。中小企業の平均でも、営業外費用の半分近くを支払利息・割引料が占めています(下の表の0.35%÷0.75%)。
⚠ 何を営業外に入れるかは、会社ごとの経理処理で違うことがあります。自社の決算書で、営業外収益の中身を一度確かめてください。毎年あるとは限らない収入が入っていることがあります。
これに対して、その年だけの特別なもの(土地や設備を売った利益、災害や設備の除却による損失など)は、経常利益の下の「特別利益・特別損失」に入ります。
中小企業の平均では、どれくらい差があるのか
中小企業庁「中小企業実態基本調査」(令和7年確報、令和6年度決算実績、法人企業)の合計額から計算すると、売上高に対してこうなります。
| 項目 | 売上高に対する割合 |
|---|---|
| 営業利益 | 3.66% |
| + 営業外収益 | 1.53% |
| − 営業外費用 | 0.75% |
| (うち支払利息・割引料) | 0.35% |
| = 経常利益 | 4.44% |
中小企業の平均では、経常利益のほうが営業利益より高く出ます。本業外の収入が、支払利息などの費用を上回っているからです。
⚠ 同調査の売上高・営業利益・営業外収益・営業外費用の合計額から計算し、小数第3位を四捨五入しました。経常利益率は、同調査の「売上高経常利益率」の表の値(4.439%)と一致します。
本業が赤字なのに、経常利益が黒字になるのはなぜか
営業外収益が、本業の赤字を埋めているからです。
同じ調査で、従業員5人以下の宿泊業・飲食サービス業を見ると、こうなっています。
| 項目 | 売上高に対する割合 |
|---|---|
| 営業利益 | −1.66% |
| + 営業外収益 | 4.17% |
| − 営業外費用 | 1.05% |
| = 経常利益 | +1.46% |
⚠ 同調査の、常用雇用者5人以下の法人企業の合計額から計算し、小数第3位を四捨五入しました。
本業は赤字、経常利益は黒字。経常利益だけを見ていると「利益は出ている」と判断してしまいます。
営業外収益が来年もあるかどうかは、分かりません。だから「営業利益より経常利益が高い」ときは、営業外収益の中身を必ず見てください。毎年くり返す収入なのか、今年だけの収入なのかで、判断がまったく変わります。
営業利益と経常利益、どちらが大事なのか
目的で使い分けます。
| 見るもの | 何が分かるか | 使う場面 |
|---|---|---|
| 営業利益 | 本業で稼ぐ力 | 値決め・原価・人員・商品の判断 |
| 経常利益 | 利息を払ったあとに、毎年残る力 | 借入の返済に足りるか、金融機関との話 |
借入が多い会社ほど、経常利益が大事になります。同じ営業利益でも、利息で残りが変わるからです。
| A社 | B社 | |
|---|---|---|
| 営業利益 | 400万円 | 400万円 |
| 支払利息 | 20万円 | 250万円 |
| 経常利益 | 380万円 | 150万円 |
(説明用の数字です。営業外収益はないものとします)
本業の力は同じなのに、B社は手元に残る利益が半分以下です。B社が本業の改善だけに取り組んでも、この差は埋まりません。借入の条件や返済の組み方を見直す話が先に来ます。
⚠ 経常利益は、産業廃棄物処理業の許可で見られる経理的基礎の判断にも使われます。見られ方は産業廃棄物の経理的基礎に書きました。
経常利益が、返済に足りているかはどう見るのか
経常利益から税金を引いた額に、減価償却費を足したものが、借入の元本を返すお金の出どころです。
返済に使えるお金 ≒ 経常利益 −(経常利益にかかる税金)+ 減価償却費
これが年間の元本返済額を下回っているなら、利益では返せていません。預金を取り崩すか、借り換えでつないでいる状態です。
必要な経常利益を返済額から逆算する式と、業種別の営業利益率・経常利益率の一覧は、利益率はどれくらいあればいい?に置きました。売上がいくらを超えれば営業利益が出るかは損益分岐点の計算式にあります。
今日、やること
直近の決算書を1期ぶん出して、この4行を書き写してください。
① 営業利益 :__________ 万円
② 営業外収益 :__________ 万円(中身:____________)
③ 営業外費用 :__________ 万円(うち支払利息:______)
④ 経常利益 :__________ 万円
見るのは2か所だけです。
- ④が①より大きいなら、②の中身が来年もあるかを確かめる
- ④が①より大きく下がっているなら、③の支払利息が重い。本業の前に借入の話をする
書き写してみて差が大きくても、気にしないでください。差がどこから来ているかが分かれば、本業を直すのか、借入を見直すのか、手を付ける順番が決まります。応援しています。
出典
- 中小企業庁「中小企業実態基本調査」令和7年確報(令和6年度決算実績) — 第10-3表(売上高経常利益率)、3.売上高及び営業費用(産業別・従業者規模別表) — https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00553010&tstat=000001019842
よくある質問
営業利益と経常利益の違いは何ですか?
営業利益は、売上から原価と販売費及び一般管理費を引いた本業のもうけです。経常利益は、その営業利益に、受取利息や雑収入などの営業外収益を足し、支払利息などの営業外費用を引いた数字です。違いは「本業の外のお金の出入り」を含むかどうか。借入の利息は営業利益には入らず、経常利益で初めて差し引かれます。
営業利益と経常利益はどちらが大事ですか?
見る目的で変わります。値決めや人員など本業の判断には営業利益、借入の返済に足りるかや金融機関との話には経常利益を使います。同じ営業利益400万円の会社でも、年間の支払利息が20万円なら経常利益は380万円、250万円なら150万円です。借入の多い会社ほど、2つの差が大きくなります。
経常利益に営業利益は含まれますか?
含まれます。経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用 なので、営業利益に本業外の損益を足し引きしたものが経常利益です。営業利益がマイナスでも、営業外収益が大きければ経常利益はプラスになります。中小企業実態基本調査(令和6年度決算)では、従業員5人以下の宿泊業・飲食サービス業で、営業利益率が約マイナス1.7%、経常利益率が約プラス1.5%でした。
経常利益と当期純利益の違いは何ですか?
経常利益に、その年だけの特別な損益(固定資産の売却益や、災害による損失など)を足し引きしたものが税引前当期純利益、そこから法人税などを引いたものが当期純利益です。経常利益は毎年くり返し発生する損益だけで出すので、会社の実力を年ごとに比べるときに使われます。
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