省力化投資補助金をゼロから理解する。人手不足の会社が最初に読む話

省力化投資補助金をゼロから理解する。人手不足の会社が最初に読む話

結論から、いきます。 省力化投資の補助金で最初にやるべきことは、機械を探すことでも、要領を読むことでもありません。ストップウォッチで、いまの作業時間を測ることです。

地味です。でも、ここを飛ばした会社は、申請書も書けないし、導入後に「で、効果あったんだっけ?」となります。今日はその「数える」の中身を、丸ごとお渡しします。

省力化投資の補助金って、そもそも何の制度?

ざっくり言うと、人手不足に悩む中小企業が、設備やシステムで作業を省力化し、生産性を上げることを後押しするという考え方の制度です。

近年はカタログに登録された製品から選ぶ型と、自社の計画に沿って機器やシステムを組む型など、複数の入口が用意されることがあります。ただ、枠組みも要件も対象製品も、年度・公募回ごとに変わります。 名称すら変わることがある。ですので、この記事では細かい要件は書きません。必ずその年度の公募要領と、事務局の公式資料を、社長ご自身の目で確認してください。

代わりに、何年経っても変わらない部分だけを書きます。それは**「省力化とは何か」という考え方**です。

なぜ「何時間減るか」を数えないと、詰むのか?——数え方まで

省力化の補助金は、名前のとおり**「どれだけ省力化したか」が評価の軸**になります。売上が伸びたかではなく、作業がどれだけ楽になったか。

つまり、計画書に必ず書くことになるのがこれです。

この作業が、いま月◯時間かかっている。導入後は月◯時間になる。差し引き月◯時間の削減。」

この式が書けないと、申請書は埋まりません。そして怖いのはここからで、導入後も同じ式で報告を求められます。 事前に測っていなければ、比較対象そのものが存在しない。「なんとなく楽になりました」では通らないんです。

だから順番は、こう。

  1. 測る(現状の作業時間)
  2. 選ぶ(その時間を減らせる手段)
  3. 探す(その手段に合う制度)

3番が最後、というのは補助金全般に共通する話です。詳しくは補助金は“もらえるお金”ではないに書きました。

では、どうやって数えるのか。大がかりなことはしなくて大丈夫です。やり方はこれだけ。

ステップ1:作業を書き出す 1日にやっていることを、思いつく順に紙に書く。粒度は「受注入力」「伝票の転記」「在庫の目視確認」「梱包」くらい。20〜30個も出れば十分です。

ステップ2:1週間、時間を書き込む その作業をやるたびに、開始と終了の時刻をメモする。スマホのタイマーでもいい。完璧じゃなくていいので、1週間だけ続ける

ステップ3:月単位に換算して、大きい順に並べる 1週間の合計を4倍すれば、だいたいの月間時間が出ます。大きい順に並べたら、上位3つを見てください。

——この上位3つが、あなたの会社の省力化ターゲットです。

ここで多くの社長が驚きます。「いちばん時間を食っていたのは、あの機械じゃなくて、あの転記作業だった」と。感覚と実測は、驚くほどズレます。手を動かして測った会社だけが、この事実にたどり着けます。

作業の棚卸しそのものについては“やめる仕事”を決める棚卸しのやり方にもっと詳しく書きました。省力化の前段として、まず読んでおくと効きます。

買う前に、「そもそもやめられないか」を疑いましたか?

ここで逆張りの問いを一つ挟ませてください。

その作業、機械化する前に、なくせませんか?

省力化の最短ルートは、実は投資ではありません。やめることです。

  • その帳票、誰が読んでいますか(読まれていない資料は、月何時間?)
  • その二重入力、片方を消せませんか
  • そのチェック、本当に全数必要ですか

順番として、①やめる→②減らす→③自動化する、というのが正しい。やめられる作業を自動化すると、無駄を高速で回すだけの機械が手に入ります。 笑い話ではなく、実際に起きます。

人手不足そのものへの向き合い方は人手不足は“採用”では解決しない。仕事量を減らす3つの順番にまとめてありますので、そちらもどうぞ。

空いた時間を、何に使うか決めていますか?

これが、省力化でいちばん抜け落ちる論点です。

月40時間減らしたとします。で、その40時間で何をしますか?

ここが決まっていないと、空いた時間は必ず別の雑務で埋まります。人間の職場は、隙間があると勝手に何かが入ってくる。結果、「機械は入れたけど、忙しさは変わらない」となる。これ、本当によくあります。

だから計画にはこう書いてほしい。

「削減した月◯時間のうち、◯時間を新規のお客さんへの提案活動に、◯時間を既存客のフォローに振り向ける」

省力化は手段です。目的は、その時間を売上を生む活動に付け替えること。ここまで書いてある計画書は、審査員から見ても筋が通って見えますし、何より導入後に本当に成果が出ます。

振り向け先に迷うなら、広告を出す前に見るべき“社内の数字”3つを先に見てください。どこに時間を使うと数字が動くのかが見えてきます。

導入した後に、何が待っているか知っていますか?

最後に現実的な話を。省力化の補助金も、原則は後払いで、実績報告があります。しかも省力化系は「本当に時間が減ったか」の報告を求められることが多い。

つまり、測る作業は導入後も続きます。 事前に測る習慣がない会社にとっては、ここがいちばんしんどい。逆に言えば、申請のために測り始めた記録が、そのまま報告書の材料になります。二度手間になりません。

採択後の書類まわりの備えは採択後がしんどい。実績報告でつまずかないための準備に整理しました。申請前に一度目を通しておくと、後で慌てません。

今日やること:ストップウォッチを1回押す

今日やることは、たった1つです。

明日いちばん最初にやる作業で、スマホのタイマーを押してください。 終わったら止めて、時間を紙に書く。それだけ。

たったこれだけのことが、補助金の申請書の1行目になり、導入判断の根拠になり、報告書の数字になります。そして何より、測り始めた社長は、補助金があってもなくても現場を変えていきます。

制度は毎年変わります。でも「まず数える」は、ずっと変わりません。まずは1回、押してみてください。応援しています!

よくある質問

省力化投資の補助金とは、どういう制度ですか?

人手不足に悩む中小企業が、設備やシステムを導入して作業を省力化し、生産性を高めることを後押しする考え方の制度です。カタログから選ぶ型や、自社の計画に沿ってオーダーする型など複数の枠が用意されることがあります。枠組み・要件・対象は年度や公募回ごとに変わるため、必ずその年度の公募要領を確認してください。

申請前にいちばん大事な準備は何ですか?

「どの作業が、何時間減るのか」を数えることです。省力化の補助金は、削減できる時間や工数が計画の中心になります。現状の作業時間を測っていない会社は、申請書も書けませんし、導入後に効果があったのかも判定できません。ストップウォッチと紙で十分なので、まず1週間測ってみてください。

設備を入れれば人手不足は解決しますか?

作業が減るだけで、仕事そのものが減るわけではありません。省力化した時間を何に使うかを先に決めていない会社は、空いた時間が別の雑務で埋まり、結局忙しさが変わらないことがよくあります。「減らした時間で何をするか」まで含めて計画にするのが本来の省力化です。

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