既存客の売上が減った原因を、取引先ごとに切り分ける

新規は取れている。それなのに、全体が伸びない。
減ったのは「いくら」ではなく「誰か」です。 取引先を1件ずつ並べると、合計の数字では見えなかったものが出てきます。

月次の合計だけを見ていると、既存客の減少はほぼ確実に見落とします。 1社が止まっても、他社の増減に紛れて合計はあまり動かないためです。 気づいたときには、止まってから半年が過ぎていることも珍しくありません。 新規で埋めながら走り続けることになり、費用も手間もかかり続けます。

減り方は、5つのどれかです

まず、自社がどれに当てはまるかを見てください。 同じ「減った」でも、打つ手はまったく違います。

1取引そのものが、止まった

よくある言い方:「あの会社、そういえば最近来ていない」

完全に止まった先です。いちばん分かりやすい一方で、気づくのがいちばん遅くなります。毎月来ていた先が1回飛んでも「たまたま」と思うためです。止まった理由は、こちらへの不満とは限りません。担当者が代わった、先方の受注が減った、内製に切り替えた。どれかによって、戻ってもらう方法は変わります。まず、いつ止まったのかを特定してください。

2続いてはいるが、金額が細った

よくある言い方:「付き合いは続いているのに、去年より少ない」

取引は残っているので、止まった先ほど目立ちません。しかし金額の減少は、こちらのシェアが下がったことを意味します。先方の発注量が減ったのか、他社に一部が移ったのか。この2つは意味がまったく違います。前者なら待つ選択もありますが、後者を放置すると、残りも順に移ります。先方全体の動きを尋ねられる関係かどうかが、ここで効いてきます。

3買ってくれる回数が、減った

よくある言い方:「1回あたりは変わらないが、間隔が空くようになった」

単価も内容も変わっていないのに、頻度だけが落ちている状態です。多いのは、思い出される回数が減っていること。不満があるわけではなく、単に接点が消えています。人は必要になったときに、思い出せる相手にしか連絡しません。定期的に接点を作る仕組みがあるかどうかで、ここは大きく変わります。仕組みは、手紙でもメールでも構いません。続けられる形であることが条件です。

4単価を、下げてしまった

よくある言い方:「数量は同じなのに、売上だけが下がっている」

値引きに応じた分だけ、売上が減っています。数量が同じなら、減った金額はそのまま粗利から引かれます。粗利の金額が売上の20%の商品を1割値引きすれば、その取引の粗利は半分になります。同じ粗利額に戻すには、数量を倍にしなければなりません。値引きの依頼を断れという話ではありません。応じる前に、その1割が何を意味するかを計算しておくと、代わりに何を求めるかを考えられます。

5値上げのあとに、離れた

よくある言い方:「価格を改定してから、静かに減った」

値上げのあとに離れる先と、残る先があります。分かれ目は、その商品やサービスが相手にとってどれだけ替えが利くか、そして買う頻度がどれくらいかです。頻度が高く、代わりがあるものほど離れます。だから一律に上げると、離れやすいものから順に抜けていきます。値上げの前後で取引先ごとの動きを追える形にしておけば、次の改定のときに、どこから上げるかを決められます。

どれに当てはまるかを、1枚の表で見分ける

取引先ごとに、去年と今年の売上・数量・回数の3つを並べてください。 この3つの動き方で、5つのどれかが決まります。

売上数量回数これに当てはまります
ゼロゼロゼロ 1番/取引が止まった
変わらず 2番/1回あたりの量が細った
3番/買う回数が減った
変わらず変わらず 4番/単価を下げた
5番/値上げのあとなら、まずこれを疑う

3番と5番は、数字の上では同じ形になります。 見分けるのは、価格を改定した時期です。改定の前後で切って比べれば、どちらかが分かります。

全部の取引先を調べる必要はありません

売上の大きい順に並べて、上から合計の8割に達するまでで十分です。 多くの会社で、これは件数にすると全体の2〜3割に収まります。 残りの先を軽んじるという意味ではなく、 限られた時間を、影響の大きいところから使うためです。

専用のシステムは要りません。会計ソフトや販売管理ソフトから取引先別の売上を年度ごとに出し、 エクセルに並べるだけです。出せない場合でも、請求書の控えを月ごとに数えれば作れます。

気づくのが遅れることが、いちばんの損失です

止まってから連絡するのと、間が空いた段階で連絡するのとでは、戻ってもらえる確率が変わります。 完全に止まった相手には、すでに別の取引先ができていることが多いためです。

防ぎ方は単純です。取引先ごとに 「前回いつ買ったか」を1枚に並べておく。 ふだん毎月来ている先が2か月空いていれば、それが合図です。 用件は何でも構いません。接点があるうちに動けることが、この表の値打ちです。

担当するのは

中小企業診断士(経済産業大臣登録)の吉田直樹が担当します。 製鋼プロセスの技術開発に6年、設備診断に20年携わり、 設備が壊れる前に、兆候を数字で見つける仕事をしてきました。 取引先が離れる前の兆候を見つける考え方は、これと同じものです。

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減った先を見つけたあと、既存のお客さまから次の客が来る形をつくる話は、 紹介が増えない原因と、紹介が生まれる形のつくり方にまとめています。

よくあるご質問

新規は取れているのに、全体の売上が伸びません。なぜですか?
新規で増えた分と同じだけ、既存のお客さまが減っている状態が考えられます。この形がやっかいなのは、合計の数字がほとんど動かないため、社内で問題として認識されないことです。新規獲得には費用も手間もかかりますから、減った分を埋めるために走り続けることになります。まずは前年の同じ時期と比べて、取引先ごとに増減を並べてください。増えた先と減った先が両方あり、差し引きで横ばいになっていることが多いです。
取引先ごとの数字を出すのが大変です。全部やる必要がありますか?
全部は要りません。売上の大きい順に並べて、上から全体の8割に達するまでの取引先だけで十分です。多くの会社で、これは全体の2〜3割の件数に収まります。会計ソフトや販売管理ソフトから、取引先別の売上を年度ごとに出せることがほとんどです。出せない場合でも、請求書の控えを月ごとに数えれば作れます。エクセルで足ります。
減っているのは分かりますが、理由を先方に聞けません。
聞きにくいのは自然なことです。ただ、聞き方によっては答えてもらえます。「なぜ減ったのですか」と正面から尋ねると相手も答えづらいので、こちらの都合を先に置く形にします。たとえば「来期の生産計画を立てたいので、御社の今後の見込みを教えていただけますか」であれば、業務上の相談として話せます。相手の事情(自社の受注減、担当者の交代、内製化)が分かれば、こちらの打ち手も変わります。
値引きを求められて応じてきました。これも原因になりますか?
なります。数量が同じでも単価が下がれば、その取引先からの売上は減ります。注意したいのは、値引きの影響が思っているより大きいことです。粗利の金額が売上の20%の商品を1割値引きすると、その取引の粗利は半分になります。同じ粗利額を取り戻すには、数量を倍にしなければなりません。値引きに応じる前に、その1割が何を意味するかを計算しておくと、判断が変わります。
減り始めてから気づくまでに、時間がかかってしまいます。
ほとんどの会社がそうです。月次の合計だけを見ていると、1社が止まっても他社の増減に紛れて見えません。防ぐ方法は単純で、取引先ごとの「前回いつ買ったか」を1枚に並べておくことです。ふだん毎月来ている先が2か月空いていれば、それが合図です。完全に止まってから連絡するより、間が空いた段階で接点を持つほうが戻ってもらいやすくなります。
相談だけしたい場合も費用はかかりますか?
初回のご相談は60分無料です。オンラインでも対応しています。取引先別の売上が分かる資料をお持ちいただければ、その場で「どこで減っているか」までは一緒に絞り込めます。お手元になくても構いません。無理な勧誘はいたしません。費用対効果が合わないと判断した場合は、その旨をお伝えします。

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