原価率の計算方法。売値の出し方と、目安30%の落とし穴

原価率の計算方法。売値の出し方と、目安30%の落とし穴

結論から、いきます。原価率の計算は1本の式で終わります。

原価率(%)= 原価 ÷ 売上 × 100
売値    = 原価 ÷ 原価率

難しいのは、式ではありません。「原価の3倍」で値付けして原価率が30%に届かない。メニュー表では28%なのに、月末に締めると30%を超えている。原価率を下げたのに、利益の額が減っている。——計算は合っているのに、判断を誤るところが3つあります。

今日は、式の使い方と、業種別の原価率(公的統計)、そしてこの3つの落とし穴まで置いていきます。

原価率は、どう計算するのか

原価を売上で割って、100を掛けます。

項目金額・率
売値1,000円
原価(材料・仕入)300円
原価率300 ÷ 1,000 × 100 = 30%
粗利700円
粗利率700 ÷ 1,000 × 100 = 70%

原価率と粗利率は、足すと必ず100%になります。片方が分かれば、もう片方も出ます。

何を「原価」に入れるかを決めておいてください。飲食店なら食材と飲料、小売なら仕入れた商品です。製造業では、決算書の売上原価に材料費だけでなく工場の人の給料(労務費)や外注費も入ります。同じ「原価率」でも、何を入れたかで数字が変わります。

原価率から売値を出すには、どうすればいいのか

原価を、目標の原価率で割ります。

原価300円で、原価率30%にしたい
売値 = 300 ÷ 0.3 = 1,000円

ここで間違えやすいのが、「原価の3倍」で値付けするやり方です。

やり方売値原価率
原価の3倍900円約33.3%
原価 ÷ 0.31,000円30%
3倍:売値 300 × 3 = 900円
   原価率 300 ÷ 900 × 100 ≒ 33.3%

1品で100円の差です。1日50食出る商品なら、1日5,000円。月25日営業で12万5,000円、全部そのまま粗利の差になります。

⚠ 売値を「原価の何倍」で考えている場合は、原価率30%なら約3.33倍、25%なら4倍、40%なら2.5倍です。

原価率30%・40%・25%とは、どういう意味なのか

売値1,000円の商品に当てはめると、こうなります。

原価率原価粗利売値は原価の
25%250円750円4倍
30%300円700円約3.33倍
40%400円600円2.5倍

粗利は、利益ではありません。ここから人件費、家賃、水道光熱費を払って、残った分が利益です。原価率25%の店が、原価率40%の店より儲かっているとは限りません。

原価率は、いくらが理想なのか

業種でまったく違います。中小企業庁「中小企業実態基本調査」(令和7年確報、令和6年度決算実績、法人企業)の売上高と売上原価の合計額から計算すると、次のとおりです。

業種売上原価率
全業種74.8%
宿泊・飲食34.0%
専門・技術サービス45.5%
情報通信55.1%
その他のサービス56.8%
不動産・物品賃貸59.5%
生活関連・娯楽65.5%
小売業70.5%
建設業74.9%
運輸・郵便75.9%
製造業79.1%
卸売業85.6%

⚠ 小数第2位を四捨五入しています。業種名は短く書いています(「専門・技術サービス」は学術研究,専門・技術サービス業、「その他のサービス」はサービス業(他に分類されないもの))。製造業や建設業の売上原価には、労務費や外注費も入っています。材料費だけの原価率とは比べられません。

飲食店でよく言われる「原価率30%」は、この統計の宿泊・飲食の34.0%と近い水準です。ただし、これは平均です。ランチ中心の店と、仕入れの高い魚を出す店で、同じ率を目標にする理由はありません。

どれくらいの率なら店や会社が回るかは、固定費から逆算できます。考え方は粗利率の目安を調べる前にに、業種別の粗利率・営業利益率・経常利益率は利益率はどれくらいあればいい?に書きました。

メニュー表の原価率と、月末の原価率は、なぜ違うのか

メニュー表の原価率は「レシピどおりに作って、全部売れた」ときの数字だからです。

実際には、仕込みすぎて捨てた食材、まかない、盛りすぎ、仕入れ値の上がった分が入ります。だから店全体の原価率は、仕入れた額ではなく、実際に使った額で出します。

実際に使った原価 = 月初の在庫 + その月の仕入 − 月末の在庫
店全体の原価率  = 実際に使った原価 ÷ その月の売上 × 100

例で出します(説明用の数字です)。

項目金額
月初の在庫30万円
その月の仕入120万円
月末の在庫28万円
その月の売上400万円
実際に使った原価 = 30 + 120 − 28 = 122万円
店全体の原価率  = 122 ÷ 400 × 100 = 30.5%

メニュー表で計算した原価率が28%なら、差は2.5ポイント。売上400万円に対して、月10万円が、どこかで消えています。年にすると120万円です。

差額 = 400万円 × 2.5% = 10万円(月)

月末の在庫を数えずに「仕入 ÷ 売上」で出すと、仕入れの多い月だけ原価率が跳ねて見えます。月末に一度、在庫を数えてください。

⚠ 差が大きいときは、まず仕入れ値が上がっていないかを見ます。レシピの原価が古いままだと、ロスがなくても差が出ます。

原価率を下げれば、利益は増えるのか

増えるとは限りません。率が下がって、額が減ることがあります。

商品原価率1件の粗利
ドリンク(売値500円・原価100円)20%400円
定食(売値1,200円・原価480円)40%720円

原価率だけを見ると、ドリンクのほうが優秀に見えます。でも、1件で残るお金は定食のほうが320円多い。

「原価率を下げよう」と、定食の品数や販促を減らしてドリンクに力を入れると、店全体の原価率は下がっても、1件あたり残る額の少ない商品を増やすことになります。定食1食がドリンク1杯に置き換わるたびに、粗利は320円減ります。

家賃も給料も、率ではなく金額で出ていきます。原価率は「どこでお金が漏れているか」を探す道具として使い、判断は1件あたりの粗利の額でしてください。値引きが粗利の額をどれだけ削るかは限界利益と値引きの関係に書きました。

製造業で、材料費だけでなく段取りや設備の費用まで入れた原価をエクセルで出す手順は、原価計算をエクセルでにまとめています。

今日、やること

売上の上位3品だけ、紙に書き出してください。

1位 商品名:__________
  売値 ____円/原価 ____円
  原価率 ____%/1件の粗利 ____円

2位 商品名:__________
  売値 ____円/原価 ____円
  原価率 ____%/1件の粗利 ____円

3位 商品名:__________
  売値 ____円/原価 ____円
  原価率 ____%/1件の粗利 ____円

原価は、今月の仕入れ値で入れ直してください。半年前の値段のままになっていることが多いからです。

書き出して原価率が思ったより高くても、気にしないでください。どの商品で、1件あたりいくら残っているかが見えた時点で、値段を直すのか、すすめ方を変えるのかを選べます。応援しています。

出典

よくある質問

原価率の計算方法を教えてください。

原価率(%)= 原価 ÷ 売上 × 100 です。売値1,000円の商品の原価が300円なら、300 ÷ 1,000 × 100 = 30%。原価率と粗利率を足すと必ず100%になるので、原価率30%なら粗利率は70%です。店や会社全体で出すときは、原価に仕入れた額ではなく「月初の在庫 + 仕入 − 月末の在庫」で実際に使った額を入れます。

原価率から売値を出すにはどうしますか?

売値 = 原価 ÷ 原価率 です。原価300円で原価率30%にしたいなら、300 ÷ 0.3 = 1,000円。よくある間違いは「原価の3倍」で値付けすることで、300円 × 3 = 900円だと原価率は約33.3%になり、30%には届きません。

原価率はいくらが理想ですか?

業種でまったく違い、理想の数字はありません。中小企業庁の中小企業実態基本調査(令和6年度決算、法人企業)から計算すると、売上原価率は宿泊業・飲食サービス業で34.0%、小売業で70.5%、製造業で79.1%、卸売業で85.6%です。目安と比べるより、率を下げたときに1件あたりの粗利の額が減っていないかを確かめてください。

原価率40%とはどういう意味ですか?

売上のうち40%が原価で、残りの60%が粗利という意味です。売値1,000円なら原価400円、粗利600円。原価率25%なら原価250円・粗利750円です。粗利から人件費や家賃を払うので、原価率だけでは利益が残るかは分かりません。

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