請求書をエクセルで自動作成。1枚ずつ作るのをやめる

請求書をエクセルで自動作成。1枚ずつ作るのをやめる

結論から、いきます。請求書をエクセルで自動作成するコツは、請求書を作らないことです。

月末に、伝票を見ながら請求書を1枚ずつ作る。取引先ごとに、明細を打ち込んで、合計して、税額を出す。この作業が、打ち間違いと残業の元です。

代わりに、売上を1行ずつ台帳に積みます。請求書は、台帳から自動で組み立てます。今日は、その形を置いていきます。

なぜ、請求書を1枚ずつ作るとミスが出るのか?

同じ数字を、2回書いているからです。

伝票に書いた数字を、請求書にもう一度打つ。2回書けば、2回目で間違えます。しかも月末にまとめてやるので、急いでいます。

台帳に1回だけ書けば、請求書は組み立てるだけです。書き写しが無ければ、写し間違いも起きません。

台帳には、何を入れればいいのか?

売上1件を1行にして、7列です。

A:日付B:取引先C:品名D:数量E:単価F:金額G:税率
9/2◯◯工業加工品A501,20060,00010%
9/9◯◯工業加工品B201,80036,00010%
9/12△△商事加工品A301,20036,00010%

F列(金額)は =D2*E2 です。

取引先と品名はプルダウンで選ぶ形にしてください(データ → データの入力規則 → リスト)。「◯◯工業」と「◯◯工業株式会社」が混ざると、同じ会社として集計されません。

請求書のシートは、どう作るのか?

取引先と期間を選ぶと、明細と合計が自動で並ぶ形にします。

請求書シートのB2に取引先、B3に期間の開始日、B4に締め日を入れておきます。

① 明細を引く(どのExcelでも動くやり方)

台帳に1列だけ足します。H列に、選んだ取引先・期間に当たる行へ1、2、3…と番号を振る式です。H2に入れて、下へコピーします。

=IF(AND(B2=請求書!$B$2,A2>=請求書!$B$3,A2<=請求書!$B$4),MAX(H$1:H1)+1,"")

請求書シートの明細欄(A列に1、2、3…と番号を書いておく)には、この式で品名を引きます。

=IFERROR(INDEX(台帳!$C$2:$C$500,MATCH($A10,台帳!$H$2:$H$500,0)),"")

金額や数量も、$C$2:$C$500 の列を変えるだけで同じように引けます。

② 合計を出す

=SUMIFS(台帳!F2:F500,台帳!B2:B500,B2,台帳!A2:A500,">="&B3,台帳!A2:A500,"<="&B4)

上の例で◯◯工業の9月分を出すと、明細は加工品Aと加工品Bの2行、合計は60,000円+36,000円=96,000円(税抜)です。

この①②は、実際のExcelで動かして確かめました。台帳のH列が「1、2、空欄」になり、明細に2行が並び、合計が96,000円になります。

新しいExcelなら、もっと短く書ける

Microsoft 365 や Excel 2021 以降なら、FILTER関数1つで明細をまとめて引けます(Microsoft「FILTER 関数」)。

=FILTER(台帳!A2:G500,(台帳!B2:B500=B2)*(台帳!A2:A500>=B3)*(台帳!A2:A500<=B4),"該当なし")

FILTER関数は Excel 2019 以前では使えません。入力しても動かない、ということが起きます。社内のExcelの版を確かめてから選んでください。分からなければ、①のやり方ならどの版でも動きます。

インボイスには、何を書く必要があるのか?

国税庁の案内では、6つです。

記載事項
交付先(相手方)の氏名または名称
自社の氏名または名称と、登録番号
取引年月日
取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
10%・8%それぞれの対象となる対価の総額と、適用税率
10%・8%それぞれの消費税額等

請求書のひな形に、この6つの欄を先に作っておいてください。毎回考えなくて済みます。

消費税は、どう計算すればいいのか?

明細ごとに税額を出して足さないでください。

国税庁のQ&Aでは、適格請求書に書く消費税額等に1円未満の端数が出るときは、1つの適格請求書につき、税率ごとに1回の端数処理をするとされています(国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」)。

つまり、税率ごとに金額を合計してから税額を出し、そこで1回だけ処理します。10%の対象の合計に税額を出す式は、切り捨てにする場合こうです。

=ROUNDDOWN(SUMIFS(台帳!F2:F500,台帳!B2:B500,B2,台帳!A2:A500,">="&B3,台帳!A2:A500,"<="&B4,台帳!G2:G500,0.1)*0.1,0)

上の例なら、96,000円 × 10% = 9,600円です。

⚠ 端数の処理は、切り捨て・切り上げ・四捨五入のどれでも構いません。決めた方法を、毎回同じにしてください。

請求書番号は、どう付ければいいのか?

年月+連番にしておくと、あとで探せます。2026年9月の3枚目なら「2609-003」です。

受注の段階から番号を1本にしておくと、受注・出荷・請求が同じ番号でつながります。付け方は受発注システムの自作に、自動採番の式まで書きました。

紙の伝票が多いなら、どこから自動化するか?

台帳に入れるところです。

手書きの伝票を撮って、品名と数量を読み取り、台帳に行を作る。ここは自動化できます。実際に、撮った伝票を読み取って台帳に入れ、請求書まで出す仕組みを作って納めました。

分かったのは、読み取りは100%にならないということです。違っていたときに、その場で直せる形にしておくことが前提になります。詳しくは町工場の請求書づくり、AIでどこまで自動化できる?に書いています。

⚠ 取引先に紙で送っている場合も、送り方を変える必要はありません。台帳から出した請求書を、これまでどおり印刷して送れば大丈夫です。変えるのは、社内の作り方だけです。

エクセルをやめたほうがいいのは、どんな場合か?

  • 毎月の請求書が数百枚になる … 確認だけで時間を使います
  • 会計ソフトへの取り込みを自動にしたい … 連携できるソフトのほうが早いです
  • 取引先から電子インボイスでの受け渡しを求められている … 対応したソフトが必要です

今日やること

先月の請求書を1枚出して、3つ数えてください。

① 明細は何行あったか:____行
② そのうち、伝票から打ち直した行は何行か:____行
③ インボイスの6つの記載事項は、全部あったか:□ はい □ いいえ

②が多いほど、台帳に切り替える効果が大きいです。まずは翌月分の売上だけ、台帳に1行ずつ積むところから始めてください。

「月末の請求書づくりは、こういうものだ」と思われていたかもしれません。同じ数字を2回書かなければ、月末はかなり静かになります。応援しています!

よくある質問

請求書をエクセルで自動作成するには、どうすればいいですか?

請求書を1枚ずつ作るのをやめ、売上を1行ずつ台帳に積みます。台帳には日付・取引先・品名・数量・単価・金額・税率を入れ、請求書のシートでは取引先と締め日を選ぶだけで、その取引先の明細と合計が自動で並ぶ形にします。合計はSUMIFS関数、明細はINDEXとMATCHで引けます(新しいExcelならFILTER関数1つでも引けます)。書き写す作業が無くなるので、金額の打ち間違いも消えます。

インボイス(適格請求書)には何を書く必要がありますか?

国税庁の案内では、交付先の氏名または名称、自社の氏名または名称と登録番号、取引年月日、取引内容(軽減税率の対象品目である旨)、税率ごとに区分した対価の総額と適用税率、税率ごとの消費税額等の6つです。エクセルで作る場合も、ひな形にこの6つの欄を先に用意しておくと漏れません。

消費税の端数処理は、どう計算すればいいですか?

国税庁のQ&Aでは、適格請求書に記載する消費税額等に1円未満の端数が出る場合、1つの適格請求書につき、税率ごとに1回の端数処理を行うとされています。明細の行ごとに税額を出して四捨五入し、それを足し上げる計算にはしないでください。税率ごとに金額を合計してから税額を出し、そこで1回だけ切り捨てなどの処理をします。

エクセルの請求書を、やめて専用ソフトにしたほうがいいのはどんな場合ですか?

毎月の請求書が数百枚になる場合、会計ソフトへの取り込みを自動にしたい場合、取引先から電子インボイスでの受け渡しを求められている場合です。件数と、会計ソフトとのつなぎ方で決めてください。エクセルで回せる件数のうちは、台帳から組み立てる形で十分に回ります。

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