資金繰りが厳しいときの対策。売上を増やす前にやる順番

資金繰りが厳しいときの対策。売上を増やす前にやる順番

結論から、いきます。資金繰りが厳しいとき、最初にやるのは売上を増やすことではありません。

「とにかく売上を上げれば、なんとかなる」。マジでそう思ってませんか? 気持ちは、めっちゃ分かります。でもね、売上を増やすと、先に出ていくお金も増えます。苦しいときに売上を追うと、かえって息が詰まることがあるんです。

先にやるのは、どの週にいくら足りないかを見ること。次に、入ってくるお金を早めること。今日は、社長が今週から打てる手を、やる順番に置いていきます。

なぜ、売上を増やしても資金繰りは楽にならないのか?

お金が出ていくのは、入ってくるより先だからです。

たとえば、原価率70%の仕事を毎月300万円増やしたとします。材料費や外注費で、毎月210万円が先に出ていきます。入金が2か月後なら、最初の2か月で420万円を立て替えることになります。

売上は増えている。利益も出ている。なのに、通帳は減っていく。これが「黒字なのにお金が無い」の正体です。

しかも、苦しいときほど値引きして受けたくなる。ここが危ない。粗利率30%の商品を1割値引きすると、粗利は30円から20円に減ります。同じ粗利の額を残すには、1.5倍売らないといけません。1.5倍売れば、先に出ていく仕入れも1.5倍です。

家賃も、給料も、返済も、率では出ていきません。額で出ていきます。だから見るのは売上の大きさでも利益率でもなく、手元に残る額と、出ていく日です。

最初の1週間で、何から手を付ければいいのか?

今日の通帳残高と、これから8週間の出入りを、週ごとに書き出します。

月ごとの資金繰り表だと、月末の残高しか見えません。でも実際には、20日に支払いが来て、入金は月末ということがある。月末で見ればプラスでも、20日の時点ではマイナス。これは月の表では見えないんです。

入金予定出金予定週末の残高
今週
来週
(8週先まで)

最初は、通帳の残高だけ入れれば十分です。入金は取引先ごとの入金日、出金は給料・家賃・仕入れ・返済・税金の日付で埋めていきます。表をエクセルで自動計算にするやり方は、資金繰り表をエクセルで自動計算。作り方とテンプレートにまとめてあります。

どの週に、いくら足りないか。これが分かると、打つ手の順番が決まります。

入ってくるお金を、早めることはできるのか?

できます。しかも、借りるより先に、社内だけで始められます。

① 請求を出し忘れていないか 納品したのに、請求書をまだ出していない仕事。追加で頼まれて、見積りも請求もしていない作業。これ、意外とあるんです。まず、ここを拾います。

② 締めてから請求までが長くないか 月末で締めて、請求書を出すのが翌月の10日。そうすると、入金はその分だけ遅れます。締めた翌日に出せる形にするだけで、入金日が前に来る取引先もあります。

③ 前受金・着手金をいただけないか 新しい取引や大きな仕事は、着手のときに一部をいただく形を相談できます。材料を先に買う仕事なら、なおさらです。

④ 期日を過ぎた入金を、放っていないか 言いにくいのは分かります。でも、期日を過ぎた入金は、その週のうちに連絡します。相手もうっかり忘れていることが多いんです。

現金で払ってもらうのは、時代遅れなのか?

先日、こんなことがありました。

久しぶりに町中華で、ラーメンと中華飯のセットを頼んだんです。お腹は大満足。で、お会計のときに「うちは現金だけなんです」と。たまたま財布にお札があって、事なきを得ました。

そのとき、レジの前で考え込んでしまったんです。「現金だけ」って、古いんかな?

キャッシュレスにすれば、会計はスムーズやし、ポイント目当てのお客さんも来る。データも残る。でも、手数料で粗利が削られる。入金は数週間後になる。現金なら、その日の売上が、その日のうちに手元に残ります。

結局、どっちが正しいかじゃなくて、自社の商売に合っているかどうかなんですよね。粗利が薄くて、毎日仕入れる商売なら、現金の「その日に入る」はめっちゃ強い。

あなたの会社にも、同じことがあるはずです。「業界ではこれが普通」と思っている入金の条件。支払いは月末締め翌月末、手形、分割。その「普通」が、あなたの資金繰りに合っているか。一度、疑ってみてください。

出ていくお金は、どこまで動かせるのか?

動かせるのは、支払いの時期、在庫、固定費の3つです。

支払いの時期は、黙って遅らせず、先に相談します。「この月だけ、半分ずつにしていただけないか」。期日の前に言えば、聞いてもらえることがあります。期日を過ぎてから言うのとでは、相手の受け取り方がまるで違います。

在庫は、棚に寝ているお金です。半年動いていない材料や商品が、いくらあるか。数えるだけで「こんなにあったんか」となることがあります。数え方は棚卸をエクセルで効率化。数える前に決める3つに書いてあります。

固定費は、一度減らせば毎月効きます。使っていないリースや保守契約、サブスク。何から削るかの考え方は、損益分岐点の計算式とグラフの見方に整理してあります。

お金を借りるのは、最後の手段なのか?

最後の手段だと思いすぎないほうがいい。ただし、借りるにも利益が要ります。

以前、ある税理士さんの講演で、こんな言葉を聞きました。「固定費の6か月分のキャッシュがあれば、経営は好転する」「銀行からは、借りられるときに借りておく」。

なるほどな、と思いました。苦しくなってから駆け込むより、余裕があるうちに相談するほうが、話は進みやすい。

でもね、帰り道に気づいたんです。お金を借りるにも、利益が要る。赤字が続いている会社に、貸す側は慎重になります。だから結局、いちばん大切なのは利益を出すことなんです。

ここで言う利益は、率ではありません。額です。粗利率を1%上げるより、1件あたりに残る粗利を何円増やせるか。値引きをやめる、割に合わない仕事を断る、手間のかかる作業を仕組みにする。残る額が増えれば、借りる力も、返す力も増えます。

苦しいときほど、やってはいけないことは?

3つあります。

① 値引きで売上を作る 先ほどの計算のとおり、粗利の額が減って、先に出るお金が増えます。苦しいときの値引きは、苦しさを先に延ばすだけになりがちです。

② 支払いを、相手に黙って遅らせる これ、取引先の信用が一気に減ります。信用は、残高のように積み上がるもの。一度減ると、次に頼みごとをするときに効いてきます。言いにくくても、期日の前に相談です。

③ 税金や社会保険料を後回しにする 納期限を過ぎると、延滞税がかかります。国税には、払えないときの納税の猶予などの制度があります。払えないと分かった時点で、税務署に相談してください。黙って滞納するより、ずっと選べる手が多いです。

今日やること

紙1枚に、今日の通帳残高を書いてください。その下に、8週間分の枠を作る。今週の欄に、決まっている入金と支払いだけ書く。

それだけで、「どの週が危ないか」が見え始めます。

資金繰りが苦しいのは、あなたの努力が足りないからではありません。入ってくる日と、出ていく日がずれている。多くの場合、ただそれだけです。ずれは、順番に手を打てば縮められます。

大丈夫、まだ打てる手はあります。応援しています!

よくある質問

資金繰りが厳しいとき、最初にやるべきことは何ですか?

今日の通帳残高と、これから8週間の入金と出金を週ごとに書き出すことです。月単位では、月末の入金より先に月中の支払いが来る週が見えません。どの週に、いくら足りなくなるのかが分かれば、入金を早めるのか、支払いを相談するのか、借りるのかの順番が決められます。売上を増やす手を打つのは、その後です。

資金繰りが厳しいときに、売上を増やすのは良くないのですか?

売上を増やすこと自体は悪くありませんが、仕入れや外注費、人件費は売上の入金より先に出ていきます。入金が2か月後の仕事を増やせば、その2か月分の支払いを先に立て替えることになり、手元のお金は一時的に減ります。値引きして売上を作る場合は、粗利の額も減るので、さらに苦しくなります。

入金を早めるには、どんな方法がありますか?

まず、請求書を出し忘れている仕事や、請求が遅れている仕事がないかを確かめます。次に、締め日から請求までの日数を縮めます。新しい仕事や大きな仕事では、着手金や前受金をいただく形を相談できます。期日を過ぎた入金は、その週のうちに連絡します。どれも借入れより先に、社内だけで始められます。

資金繰りが厳しいときに、やってはいけないことは何ですか?

値引きで売上を作ること、支払いを相手に黙って遅らせること、税金や社会保険料を後回しにすることです。値引きは粗利の額を減らし、黙った遅延は取引先の信用を減らします。税金は納期限を過ぎると延滞税がかかります。払えないと分かった時点で、国税には納税の猶予などの制度があるので、早めに税務署へ相談してください。

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