図面管理システムの自作。決めるのは3つだけです
結論から、いきます。図面管理で困っているのは「保存できない」ことではありません。「探せない」ことです。
「あの図面どこだっけ」で毎回止まる。あの人しか場所を知らない。似た名前のファイルが3つあって、どれが最新か分からない。
だから、ソフトを選ぶ前に決めることがあります。3つだけです。
ここを飛ばして作ると、動くものはできるのに、誰も使わないものができます。今日は、その3つと、実際につまずいた場所を置いていきます。
自作する前に決める、3つのこと
① どこに1か所へ集めるか
これがいちばん大事で、いちばん飛ばされます。
図面が、共有フォルダと、担当者のPCと、メールの添付と、紙の棚に散っている状態。この状態でシステムを作ると、「システムにある図面」と「まだどこかにある図面」の2種類ができます。
そうなると、結局みんな両方を探します。探す手間は減りません。
⚠ 1か所に集めきる前に、道具の話をしない。集める作業は地味ですが、ここがすべての土台です。
② 何で探すかを決める
普段、何を手がかりに探していますか。
紙に書き出してみてください。だいたい、このあたりに落ち着きます。
| 手がかり | 例 |
|---|---|
| 品番・図番 | 一番よく使う |
| 客先名 | 「◯◯商事の、あれ」 |
| 年度・納入時期 | 「3年前くらいの」 |
| 機械名・製品名 | 業種による |
全部入れようとしないでください。上から2つで足ります。項目が増えるほど、あとで入力されなくなります。
③ 新しい図面を、誰がいつ入れるか
ここを決めないと、3か月で止まります。
作った直後は全員が入れます。忙しくなると止まります。止まった瞬間、「システムにない図面がある」状態に戻ります。
⚠ おすすめは「図面を出した人が、その場で入れる」です。あとでまとめて誰かが、は続きません。
無料の道具だけで、どこまでできるのか
かなりのところまで、いけます。
共有フォルダ+スプレッドシートの組み合わせです。
【台帳(スプレッドシート)】
品番 客先 年度 ファイルの場所
A-1023 ◯◯商事 2024 /図面/2024/A-1023.pdf
A-1024 △△工業 2024 /図面/2024/A-1024.pdf
これだけです。スプレッドシートの絞り込みで探して、リンクを踏むと図面が開く。
「システム」と呼べるほどのものではありませんが、「探せない」は、これで解決します。費用はゼロです。
⚠ 市販の図面管理システムが不要という話ではありません。枚数と人数が増えれば、そちらのほうが合います。まず自作で試すと、自社に何が要るのかが分かった状態で選べます。
じゃあ、無料の道具では何が足りないのか
2つあります。
① 過去分の台帳を作る作業が、終わらない
数千枚あると、1枚ずつ打ち込む作業が現実的ではありません。ここで止まる会社がいちばん多いです。
② ファイル名に手がかりが無い
スキャン001.pdf 新規図面(2).pdf のような名前。開かないと中身が分かりません。
この2つが、AIの出番です。
AIを使うと、何が変わるのか
ファイル名ではなく、図面の中身を読んで索引を作れます。
品番・客先・日付は、図面の枠の中に書いてあります。そこを読み取らせて、台帳を自動で埋める。
先日、実際にこれを作って納めました。数千枚の図面を、品番・客先・年度から呼び出せる形にしたものです。
やったことは3つだけです。
- 散らばっていた図面を1か所に集めた
- 図面の中身から品番・客先・日付を読み取らせて索引を作った
- 過去分はまとめて一度だけ取り込んだ
新しい図面は、以降その場で足していくだけです。
つまずいたのは、どこだったか
正直に書きます。うまくいかなかったところのほうが、参考になると思うので。
① 置き場所を決める前に、読み取りから始めてしまった
先に読み取りを試したくなります。でも置き場所が決まっていないと、読み取った索引が指す先が、あとで全部変わります。やり直しになりました。
② 読み取りは100%になりません
古い青焼き、手書きの追記、かすれた文字。必ず読み間違えます。
大事なのは精度を上げることではなく、違っていたときに、その場で直せる形にしておくことでした。台帳を人が直せるようにしておけば、使いながら正確になっていきます。
③ 項目を欲張った
「材質も入れよう」「工程も」と足していくと、入力されなくなります。結果、空欄だらけの列が残りました。削るほうが、使われます。
自作をやめたほうがいい場合
3つあります。
- 社内に、あとで面倒を見られる人がいない … 作った人が辞めたら誰も触れません
- 図面に社外秘の情報が多く、置き場所の条件が厳しい … ここは要件から詰める話になります
- 今すぐ必要で、試す時間がない … 既製品のほうが早いです
⚠ 1つ目がいちばん多いです。「作れるかどうか」ではなく「続けられるかどうか」で決めてください。
判断の順番は中小企業のAI導入、どこから手をつけるかに3つの条件で書きました。いくらまでかけていいかはAI導入にいくらまで出していいかのほうに、人件費から逆算する方法を置いています。
今日、やること
紙に3行、書いてください。
① 図面を1か所に集めるとしたら、どこ:__________
② 普段、何で探しているか(2つまで):__________
③ 新しい図面を、誰がその場で入れるか:__________
この3行が埋まったら、もう半分終わっています。道具は後から選べます。
逆に、③が埋まらないなら、まだ作らないほうがいいです。作っても止まります。
「うちは散らかりすぎていて無理」と思われたかもしれません。でも、散らかっている会社ほど、集めた瞬間の効果が大きいです。1か所に集めるだけで、探す時間はかなり減ります。応援しています。
よくある質問
図面管理システムは自作できますか?
できます。ただし作る前に3つ決めてください。①図面をどこに1か所へ集めるか、②何で探すか(品番・客先・年度など)、③新しい図面を誰がいつ入れるか。この3つが決まっていれば、無料の道具でもかなりのところまで作れます。逆に決めずにソフトから選ぶと、作ったあとで必ず作り直しになります。困っているのは「保存できない」ことではなく「探せない」ことなので、探し方から決めるのが順番です。
図面管理システムとは何ですか?
図面を1か所に集めて、品番や客先などの手がかりから探し出せるようにした仕組みのことです。市販のものは、版数の管理、閲覧できる人の制限、CADとの連携まで含みます。ただし中小企業で実際に困っているのは「探せない」ことがほとんどなので、そこだけなら共有フォルダとスプレッドシートの台帳でも作れます。まず自作で試すと、自社に何の機能が要るのかが分かった状態で市販品を選べます。
無料の道具だけで、どこまでできますか?
共有フォルダとスプレッドシートの組み合わせで、品番・客先・年度から目的の図面にたどり着くところまでは作れます。台帳に「品番・客先・年度・ファイルの場所」を1行ずつ書き、検索と絞り込みで探す形です。弱いのは、過去の図面が数千枚あって台帳を作る作業そのものが終わらない場合と、ファイル名がバラバラで手がかりが無い場合です。そこから先はAIの出番になります。
AIを使うと、何が変わりますか?
ファイル名ではなく、図面の中身を読んで索引を作れるようになります。これまでは人が台帳に打ち込むしかなかった品番・客先・日付を、図面から読み取らせて並べられます。過去分をまとめて一度だけ取り込めば、以降は探すだけです。ただし読み取りは100%にはなりません。違っていたときにすぐ直せる形にしておくことが前提になります。
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