作業効率の計算方法。率では改善が始まりません

作業効率の計算方法。率では改善が始まりません

結論から、いきます。作業効率の計算式は、これだけです。

作業効率(%) = 標準時間 ÷ 実際にかかった時間 × 100

標準時間60分の作業に80分かかったなら、60 ÷ 80 × 100 = 75%。以上です。

作業効率とは、「想定した時間に対して、実際どれだけで終わったか」の割合のことです。100%を超えれば想定より速い、下回れば遅い。それだけの数字です。

ただし——この数字を出しても、明日やることは決まりません。

理由を書きます。そのうえで、代わりに何を見ればいいかまで置いていきます。

まず、計算のしかたを片付けます

出し方は2通りあります。どちらでもいいので、毎回そろえてください。

見方
時間で見る標準時間 ÷ 実際の時間 × 100
量で見る作った数(処理した件数)÷ かかった時間

例で見ます。

標準時間60分
実際にかかった時間80分
作業効率60 ÷ 80 × 100 = 75%

標準時間が決まっていない会社のほうが多いです。それで構いません。無理に決めると、決めること自体で1か月が終わります。

その場合は率を出すのをやめて、実際にかかった時間をそのまま書いてください。1週間分で足ります。

「生産効率」との違いは何ですか

調べると「生産効率」の記事のほうが多く出てきます。厳密には、こう使い分けられています。

言葉見ているものよく使う式
作業効率人の作業標準時間 ÷ 実際の時間
生産効率設備・工程を含めた全体実績 ÷ 目標、実稼働時間 ÷ 目標稼働時間

⚠ ただし現場ではほぼ同じ意味で使われています。言葉を厳密に分けるより、社内で1つに決めて、同じ式を使い続けるほうが大事です。去年と比べられなくなるのがいちばん困ります。

式はこれで終わりです。ここから先が本題になります。

なぜ、率を出しても改善が始まらないのか

率は「ズレの大きさ」しか教えてくれないからです。

たとえば、効率が75%の作業が2つあったとします。

A作業B作業
作業効率75%75%
1回あたりの時間80分80分
年間の回数250回12回

率はまったく同じです。でも、この2つはぜんぜん違います。

Aは年間333時間。Bは16時間。20倍の差があります。

率の表を作って並べても、この差が全部消えます。だから「どちらから手をつけるか」が決まらない。決まらないので、たいてい「もっと効率を上げよう」で終わります。

これは社長の意志の問題ではありません。率という数字が、順番を教えてくれない形をしているだけです。

代わりに、金額に直してください

やることは1つです。

その作業の年間コスト = 1回の時間 × 年間の回数 × 時給

さっきの例で出してみます。時給2,000円としましょう。

A作業B作業
1回の時間80分80分
年間の回数250回12回
年間の時間333時間16時間
年間コスト666,000円32,000円

同じ75%でも、片方は年66万円、もう片方は3万円です。

時給は、給料÷労働時間で構いません。厳密な人件費(社会保険料などを含めた金額)まで出さなくても、順番を決めるには足ります。正確さより、全部の作業に同じ物差しを当てることのほうが大事です。

並べると、やることが自動的に決まります

紙でもエクセルでもいいので、この形で並べてください。

作業1回の時間年間の回数年間コスト
請求書の作成6時間12回144,000円
見積書の作成30分400回400,000円
日報の集計20分250回166,000円
在庫の棚卸8時間4回64,000円

上から順に手をつける。それだけです。

見積書のように「1回は短いけれど回数が多い作業」が上に来ます。ここが率では見えません。1回30分の作業は、誰も問題だと思っていないからです。

⚠ 逆に、棚卸のように「大変だけど年4回」の作業は、後回しでいいと分かります。感覚では「あれが一番しんどい」と思っていても、金額で見ると違うことがよくあります。

効率を上げる前に、「やめられないか」を見てください

順番が決まったら、上から3つだけ、この順で考えます。

① やめられないか

その帳票、誰が見ていますか。「昔から出しているから」だけで続いている書類は、そこそこあります。やめれば効率は100%改善します。

② 減らせないか

毎日でなく週1回で足りないか。全項目でなく主要な項目だけで足りないか。

③ 自動化できないか

ここでようやく道具の話になります。①と②を飛ばして③から入ると、要らない作業を高速化するだけになります。

これが順番を間違えるいちばん多いパターンです。「効率化」という言葉が、最初から③を指していると思われているからだと思います。

自動化を検討する段階に来たら、判断の条件は中小企業のAI導入、どこから手をつけるかに3つ書きました。いくらまでかけていいかは、いま出した年間コストから逆算できます。手順はAI導入にいくらまで出していいかに置いてあります。

会社全体の生産性は、率ではなく粗利で見る

作業単位ではなく会社全体を見たい場合も、考え方は同じです。

一人あたりの生産性は「粗利 ÷ 人数」で出します。売上で見ると、外注が多い会社ほど数字が良く見えてしまいます。出し方と上げ方は一人あたり生産性の出し方と、上げ方に書きました。

率は、原因を探すための道具です。目的は、残る金額のほうです。

今日、やること

紙に、3つの作業だけ書いてください。

       1回の時間 年間の回数  時給  年間コスト
① ______________________________________________
② ______________________________________________
③ ______________________________________________

思いつく順で構いません。3つ書いて掛け算するだけで、どれが一番お金を食っているかが分かります。

たぶん、思っていたのと順番が違います。そこが出発点です。

⚠ そして、いちばん上に来たものが「うちでは仕方ない」と感じる作業だったなら、それは正常です。多くの会社でそうなります。仕方ないと思われている作業ほど、誰も手をつけてこなかったので、伸びしろが大きいだけです。応援しています。

よくある質問

作業効率の計算方法を教えてください。

基本の式は「標準時間 ÷ 実際にかかった時間 × 100」です。標準時間が60分の作業に80分かかったなら、60÷80×100で75%になります。100%を超えれば想定より速い、下回れば遅いという意味です。1人あたりで見るなら「作業量 ÷ 作業時間」でも出せます。どちらで出したかを毎回そろえてください。式を変えると前年と比べる意味がなくなります。

標準時間が決まっていない場合はどうしますか?

無理に決めなくて構いません。中小企業では標準時間が設定されていないほうが普通です。その場合は率を出すのをやめて、実際にかかっている時間をそのまま記録してください。1週間分で十分です。標準と比べなくても、時間に時給を掛ければ「その作業に年間いくら払っているか」が出ます。改善の順番は、率ではなくこの金額で決まります。

作業効率と生産効率は、何が違いますか?

作業効率は人の作業を見る言葉で、生産効率は設備や工程を含めた全体を見る言葉です。ただし現場では、ほぼ同じ意味で使われています。生産効率のほうは「実績÷目標」「実稼働時間÷目標稼働時間」で出すことが多く、設備の可動率として使われます。どちらの言葉を使うかより、社内で1つに決めて、同じ式を使い続けるほうが大事です。言葉が混ざると、去年の数字と比べられなくなります。

率を出しても改善が始まらないのはなぜですか?

率は「想定とどれだけズレているか」しか表さないからです。効率75%の作業が2つあっても、片方は年間200万円かかっていて、もう片方は年間8万円かもしれません。率は同じでも、手をつけるべきなのは前者です。率を並べても順番が決まらないので、たいてい「もっと頑張ろう」で終わります。金額に直すと、どれから手をつけるかが自動的に決まります。

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