フィロボロジーとは?会社の不調を見抜く3つの目
結論から、いきます。 フィロボロジーは、会社の不調を見抜く「3つの目」をまとめた呼び名です。
常識を疑う目、数字で確かめる目、対立を一段上でまとめる目。この3つを順番に使うと、「頑張っているのに、なぜかうまくいかない」の正体が見えてきます。
名前だけ聞くと、難しそうですよね。 フィロソフィー(哲学)と、トライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑の科学)を組み合わせた造語です。でも中身は、ぜんぜん難しくありません。明日から、あなたの会社でそのまま使えます。
フィロボロジーの「3つの目」とは何か?
3つの目は、こうです。
| 目 | ひとことで | 何を見るか |
|---|---|---|
| 発見力 | 常識を疑う | 業界やわが社の「当たり前」 |
| データ解析力 | 数字で確かめる | 感覚ではなく、売上や粗利の動き |
| 哲学的思考力 | 対立をまとめる | 「AかBか」の二択の、その先 |
ポイントは、この3つを1つずつではなく、順番に使うことです。 疑う → 確かめる → まとめる。この流れで見ると、ただの思いつきが、ちゃんと実行できる打ち手に変わります。
1つ目の目「発見力」は、何を疑うのか?
まず疑うのは、「うちの業界はこういうもんだから」という言葉です。
- うちの業界は、値上げできない
- うちのお客さんは、ネットで調べない
- 職人の仕事は、人にしかできない
どれも、もしかしたら本当かもしれません。 でも、その「当たり前」は、いつ、誰が決めたものでしょうか。
哲学者のフランシス・ベーコンは、人の判断をゆがめる思い込みを「イドラ(偶像)」と呼びました。 みんなが言っているから。昔からそうだから。偉い人がそう言ったから。 こうした思い込みは、真面目な会社ほど強く根を張っています。
場所が変われば、常識はあっさりひっくり返ります。 同じ商売でも、別の地域、別の業界では、まったく違うやり方で儲けていることがよくあります。 「当たり前」を紙に書き出して、1つずつ「本当に?」と聞いてみる。発見力は、そこから始まります。
2つ目の目「データ解析力」は、何を確かめるのか?
疑っただけでは、ただの思いつきです。次に、数字で確かめます。
見る数字は、難しいものではありません。
- 売上を、お客さん別に並べる
- 売上と粗利を、月別に1年分並べる
- 忙しさ(作業時間)と、粗利の額を並べて比べる
ここで大事なのは、1回の数字ではなく、数字の「動き」を見ることです。 機械が壊れるときも、いきなり壊れることはめったにありません。少しずつ、少しずつ、兆しが出ます。 会社の数字も同じです。
- 売上は横ばいなのに、上位1〜2社の割合が年々増えている
- 現場は忙しくなったのに、粗利の額は去年と変わらない
- 新しいお客さんが減り、いつものお客さんの注文の間隔が延びている
どれも、決算書の合計だけを見ていると気づけません。 並べて初めて、線になって見えます。忙しいのに利益が残らない会社の数字の見方は、町工場の利益が残らない理由でくわしく書きました。
3つ目の目「哲学的思考力」は、何をまとめるのか?
数字で確かめると、たいてい「AかBか」の二択にぶつかります。
- 値上げするか、お客さんを守るか
- 人を増やすか、仕事を断るか
- 続けるか、やめるか
ここで、どちらか一方を選ぶと、もう一方を失います。 哲学者ヘーゲルは、対立する2つを、より高い次元で両方生かす考え方を「アウフヘーベン(止揚)」と呼びました。
たとえば「値上げか、お客さんか」なら、 値上げしても離れにくいお客さんに絞って、そのお客さんが喜ぶ形で価格を上げる、という道があります(値上げでお客さんが減る会社と、減らない会社の違い)。 「続けるか、やめるか」なら、いまの形のまま続けるのでも、すべてやめるのでもなく、形を変えて続ける道が見つかることもあります。
二択に追い込まれたら、「両方を生かす道は、本当にないか?」と一度だけ問い直してみてください。
なぜ、3つを1つずつ使うと外すのか?
3つの目は、1つだけで使うと、それぞれ別の外し方をします。
| 1つだけ使うと | どうなるか |
|---|---|
| 発見力だけ | 思いつきで終わる。数字の裏づけがないので、人を動かせない |
| データ解析力だけ | 分析して満足する。打つ手が出てこない |
| 哲学的思考力だけ | きれいな理屈で終わる。現場で動かない |
疑う → 確かめる → まとめる。 この順番で回すから、思いつきが「やってみる価値のある手」に変わります。 3つの目をまとめて呼びたくて、つけた名前がフィロボロジーです。
トライボロジーと、どう関係するのか?
トライボロジーは、機械の摩擦・摩耗・潤滑を扱う科学です。 機械の不調を見つけるときは、感覚ではなく、潤滑油の分析などデータで確かめるのが基本です。
フィロボロジーの「トライボロジー」の部分は、このデータで確かめる姿勢のこと。 「フィロソフィー」の部分は、常識を疑い、対立を一段上でまとめる姿勢のことです。 摩擦の理論を会社に当てはめる、という意味ではありません。
今日やること
紙を1枚用意して、3つの問いに答えてみてください。
- うちの業界の「当たり前」を3つ書く。 それぞれに「本当に?」と書き添える
- 売上をお客さん別に並べる。 上位3社で全体の何割かを書く
- いま迷っている二択を1つ書く。 その横に「両方を生かす道は?」と書く
全部に答えが出なくても、まったく問題ありません。 問いを書き出せた時点で、もう「なんとなくうまくいかない」から一歩抜け出しています。 あなたの会社にも、見えていない伸びしろが、きっとあります。
応援しています!
よくある質問
フィロボロジーとは何ですか?
哲学(フィロソフィー)と、摩擦・摩耗・潤滑の科学であるトライボロジーを組み合わせた造語で、このサイトで使っている呼び名です。中身は、会社の不調を見抜く3つの目をまとめたものです。業界の常識を疑う「発見力」、感覚でなく数字で確かめる「データ解析力」、AかBかで行き詰まったときに両方を生かす道を探す「哲学的思考力」の3つです。
3つの目は、どれか1つだけでは足りないのですか?
1つだけだと外しやすくなります。発見力だけだと、ただの思いつきで終わります。データ解析力だけだと、分析して満足し、打つ手が出てきません。哲学的思考力だけだと、きれいな理屈で終わります。疑って、数字で確かめて、対立をまとめて打ち手にする。3つを順に使うと、思いつきが実行できる手に変わります。
数字で確かめるとき、まず何を見ればいいですか?
売上を「お客さん別」と「月別」に分けて、1年分並べてください。決算書の合計だけでは見えない変化が、並べると線になって見えます。特定のお客さんの割合がじわじわ増えている、忙しいのに粗利の額が増えていない、といった兆しは、たいていここに出ます。
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