AI導入の失敗は5つに集中する。作って納めた側から

AI導入の失敗は5つに集中する。作って納めた側から

結論から、いきます。AI導入の失敗は、技術ではなく段取りで起きます。しかも、ほぼ5か所に集中します。

「精度が出なかった」「現場が使わなかった」。結果はそう見えますが、原因はもっと手前にあります。

作って納めた側から、実際につまずいた場所を5つ置いていきます。全部、作る前に紙1枚で防げるものです。

① 判断が要る工程まで自動化しようとする

いちばん多い失敗です。

「読み取る」「並べる」「計算する」は自動化できます。でも「どれを優先するか」「この客先はいくらにするか」は、自動化すると確認の手間のほうが増えます。

AIが出した案を人が全部見直すことになるからです。見直す時間 > 自分でやる時間になった瞬間、その仕組みは使われなくなります。

⚠ 線を引くなら、ここです。

自動化してよい自動化しない
転記・集計・仕分け値付け・優先順位・断るかどうか
下書きを作る最終の判断
探す・並べる例外の処理

② 置き場所を決める前に、読み取りから始める

先に読み取りを試したくなります。動くと楽しいからです。

でも、図面や伝票が共有フォルダと担当者のパソコンとメールに散ったままだと、読み取って作った索引が指す先が、あとで全部変わります。やり直しです。

これは実際にやりました。先に集めるべきでした。

順番は「集める → 読み取る」です。詳しくは図面管理システムの自作。決めるのは3つだけですに書きました。

③ 項目を欲張る

「あれば便利」で足した1項目が、仕組みを止めます。

現場で入力してもらう形にすると、はっきり出ます。項目が3つなら続きます。7つになると、その週から入力されなくなります。

実際に、売上の入力の仕組みでは項目を削れるだけ削り、スマホの1画面に収めました。足したくなったときは、「これが無いと困るか」で判断します。「あると便利」は足しません。

④ 入力できない場所に、仕組みを置く

倉庫にパソコンはありません。手も汚れています。

それなのに事務所のパソコンでしか入力できない形にすると、記録は「あとでまとめて」になります。そして抜けます。抜けた1件が、在庫でも工程でも、数字の食い違いになります。

入力する場所を、作業する場所に合わせてください。逆はうまくいきません。

⑤ あとの面倒を見る人を決めない

作った直後は、誰でも動かせます。

半年後、式が壊れる。読み取りの結果がずれる。そのとき直せる人がいなければ、その仕組みはそこで終わります。

社外に作ってもらう場合も同じです。「どこまで面倒を見てもらえるか」を、作る前に決めておいてください。

⚠ 判断の基準は、作れるかどうかではなく、続けられるかどうかです。

精度は、どこまで上げればいいのか?

100%にはなりません。手書きのクセ、かすれた文字、古い書式。必ず読み間違えます。

大事なのは精度を上げることではなく、違っていたときに、その場で直せる形にしておくことでした。直した結果が残る仕組みにしておけば、使いながら正確になっていきます。

読み取りの限界は手書き伝票をAIで読み取るにまとめました。

いくらまでかけていいのか?

相場では決まりません。同じ仕組みでも、その作業に年間いくらかかっているかで、出していい金額が変わります。

計算のしかたはAI導入にいくらまで出していいかに、人件費から逆算する形で書きました。

既製品で足りる領域なら、既製品のほうが安く済みます。分かれ目はAIツールは既製品か、自社で作るかの4つの観点で判断できます。

今日やること

今かかっている作業を1つ選んで、紙に5行書いてください。

① この作業のうち、判断が入るのはどこか:__________
② データは今どこに散らばっているか:__________
③ 入力する項目は、いくつまでなら続くか:__________
④ 入力するのは、どの場所か(現場/事務所):__________
⑤ 半年後に面倒を見るのは誰か:__________

⑤が埋まらないなら、まだ作らないでください。作っても止まります。

「うちは何から手をつければいいのか分からない」と思われたかもしれません。それが普通です。候補の洗い出し方は中小企業のAI導入、どこから手をつけるかに3つの条件で書きました。1つずつで大丈夫です。応援しています!

よくある質問

中小企業のAI導入は、なぜ失敗するのですか?

技術が足りないからではなく、決めるべきことを決めずに始めるからです。実際に作って納めた経験では、失敗はほぼ5か所に集中します。判断が要る工程まで自動化した、データの置き場所を決める前に読み取りから始めた、項目を欲張った、入力できない場所に仕組みを置いた、作ったあとの面倒を見る人を決めなかった、の5つです。どれも作る前に紙1枚で決められることばかりです。

AI導入で、最初に決めておくことは何ですか?

対象の業務を1つに絞ることと、その業務のデータをどこに1か所へ集めるかです。置き場所が決まっていないと、読み取りや集計の結果が指す先が後で全部変わり、作り直しになります。次に、入力や確認を誰がいつ行うかを決めます。ここまで決まっていれば、道具は後から選べます。逆に、道具から選び始めた案件は作り直しになりやすいです。

AIの読み取り精度は、どのくらい必要ですか?

100%を前提にした設計にしないことが大事です。手書きのクセ、かすれ、古い書式があると必ず読み間違えます。精度を上げる工夫よりも、違っていたときにその場で直せる形にしておくほうが効きます。人が直した結果が残る仕組みにしておけば、使いながら正確になっていきます。最初の1か月は人が確認する前提で組むと、現場が止まりません。

作ったあとに止まってしまう原因は何ですか?

面倒を見る人が決まっていないことです。作った人が異動や退職でいなくなると、式やスクリプトが壊れても誰も直せません。社外に作ってもらう場合も、誰がどこまで面倒を見るかを先に決めておく必要があります。作れるかどうかではなく、続けられるかどうかで決めてください。続けられない仕組みは、作らないほうが損をしません。

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